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両国特許制度の主要相違点

世界知的財産機関(WIPO)の発表によると、各国‧地域の特許出願件数のランキング (2007)TOP5は、日本、米国、韓国、中国、欧洲です。グローバルに企業活動を展開する企業においては、近年、世界各国の特許を取得しようとするケースが増大していますが、WIPOのランキングによれば,これら5個の国‧地域が相対的に高い重要性を有していると判断できます。韓国は地理的に 一番近い国でありながら、言葉の問題などもあり、情報を得にくい環境にあります。

このために、韓国の特許制度について理解を深くするのに役に立つように願います。

韓国の知的財産権の法律はTRIPS協定に従って先進各国とほぼ同じレベルにある。 特 に産業財産権制度に関する法律は日本とほとんど同じである。

しかし、差異点もございます。下記の対照表は、日本の出願者及び弁理士(実務者)皆様の理解のために作成したものです。 

また、もっと詳しい内容につきましては弊所に連絡いただいてください。


1. 主要用語の違い点
 
 

韓国

日本

特許庁長

特許庁長官

特許出願書

願書

優先審査

早期審査

特許決定

特許査定/査定

拒絶決定

拒絶査定

意見書提出期間

応答期間

申請(申立 は使わない)

申請と申立を区別

年次料

年金

節次

手続

物件(プログラムを含まない)

物(プログラムなどを含む)

親族会

後見監督人/保佐人

保護範囲

技術的範囲

デザイン保護法

意匠法

基準日

国内処理基準時

口述心理

口頭心理

法院

裁判所

特許審判院(特許庁)

審判部(特許庁)

特許法院

知的財産高等裁判所

高等法院

高等裁判所

大法院

最高裁判所


2. 特許制度の違い点

 

項 目 

韓 国

日 本

委任状

·必須(出願後にも提出可能)

·韓国に出願をする者の代理人の代理権は"書面"として証明しなければならない

出願時 に委任状は不要(審判段階で必要)

 

 

出願時 の手続言語及び明細書言語

必ず韓国語に(PCT出願の韓国移行も同様)

外国語の明細書で出願できる

(指定期間内に日本語翻訳文必要)

明細書と請求範囲

明細書内 に請求範囲が含まれる

明細書と請求範囲は区別されている

PCT国内書面提出期間

優先日から31ヶ月

優先日から30ヶ月(翻訳文提出特別期間がある)

新規性喪失の例外

@適用対象の公開行為の制限なし(但し、公開公報、登録公報を除く)

A新規性擬制主張期間は公開後6ヶ月以内

公開行為に制限あり(学術団体での文書発表、博覧会出品等)

 

コンピユータープログラム発明

物の範囲に“プログラム”が含まれない(日本と同様の扱いに改訂予定(2008年7月1日施行予定)

“プログラム”を含む

 

拒絶理由

両国共通

·補正による新規事項の追加

·外国人の権利能力の規定違反

·特許の実体的要件(新規性,進歩性,産業上の利用可能性)違反

·先願及び先願範囲の拡大(拡大された先願主義)

·特許を受けることができない発明

·共同出願の要件(特許を受ける権利が共有の場合)

·発明が条約規定によって特許を受けることができない場合

·明細書の記載要件の違反(当業者が発明を実施することがで きる位に記載すること)

·請求範囲の記載要件の違反

·発明の単一性違反

·無権利者の出願

両国だけ

·特許請求の範囲の記載形式違反

a.クレームの引用関係が択 一的になっていない場合

b.マルチクレーム禁止など

·分割出願の実体的要件違反(新規事項の追加)

·変更出願の実体的要件違反(新規事項の追加)

·補正前に受け取った拒絶理由通知書で特許可否に関する判断があった発明と,補正後に特許請求の範囲によって特定される発明間の単一性違反

·先行技術文献情報開示の義務違反

·外国語書面に記載されていない新たな事項

多重従属項

複数の請求項 を引用する請求項を再度引用する多項請求項は違法(分割‧変更出願後に補正可能)

請求項 の引用関係に制限なし

 

 

先行技術文献情報開示の義務

@開始義務(関連規定)なし

A開始しなくても 拒絶理由にはならない

@開始義務あり

A違反は拒絶理由 になる

 

請求範囲の提出猶予

@出願時 に請求項範囲を記載しなくても良い(PCT出願は除く).但し、優先日から1年6月內提出しなければ取下げと見なす.

A出願人が審査請求をする場合は特許請求の範囲を提出しなければならない

請求範囲の提出猶予 の制度なし

審査請求期間

出願日から5年以内(実用新案は出願日から3年以内)

出願日から3年以内

1次審査の処理期間

審査請求日から10ヶ月以內

約26ヶ月

優先(早期)審査制度

@優先審査として通称

(優先審査の理由が第3者にあっても,出願人にあっても皆 '優先審査"と通称する)

A優先審査其間: 3ヶ月以內

@優先審査(第3者の実施を理由にする場合)制度及び早期審査(その理由が出願人にある場合)制度を区分

A優先審査其間: 約2.5ヶ月

優先(早期)審査要件

@公害防止に有用な特許出願

A条約による優先権主張の基となる特許出願(当該特許出願を基とする優先権主張により外国特許庁で特許に関する手続きが進行中のものに限る)

B特許出願人が特許出願された発明を実施したり,実施準備中の特許出願

C特許庁長が外国特許庁長と優先(早期)審査することに合意した特許出願

D出願公開後第3者が業として出願された発明を実施していると認められる出願

@出願人がその発明に対して,日本国特許庁以外 の特許庁又は政府間機関へも出願している特許出願(国際出願を含む)であること.

A出願人自身または出願人からその出願に係る発明について実施許諾 を受けた者が,その発明を実施している特許出願であること.

Bその発明の出願人の全部または一部が,中小企業又は個人,大学·短大,公的研究機関,又は承認若 しくは認定を受けた技術移転機関(承認TLO又は認定TLO)であること.

韓日

特許審査

ハイウェイ

 

制度

2007年 4月 1日から施行されている

@韓国と 日本国 に共に出願された特許出願であって、一方の国で肯定的な審査結果があり、共に出願された特許請求の範囲の内容が同一な 場合 ⇒ 最小限の証憑書類でもって優先審査(韓国)または早期審査(日本国)が可能

A特許審査ハイウェーによる早期審査申し込みをする場合,1次審査処里期間 3ヶ月以内可能

B韓日特許庁間に構築された電算ネットワークを通じて審査官が入手が可能な證憑書類を免除

申請書類

@「相対国特許庁が特許可能だと判断した特許請求範囲*」及び「その翻訳文」

*特許決定書外 に意見提出通知書,拒絶決定書で特許可能だと明示された特許請求範囲も含んで特許決定以前の通知にも活用

A「相対国特許庁の審査関連通知書」及び 「その翻訳文」

B上記審査関連通知書 に引用された先行技術

C韓国特許出願と日本特許出願の請求項対応関係説明表

·相対国特許出願が公開されて,引用された先行技術が特許文献の場合、上記 @、A、Bは 提出省略

·相対国特許出願が公開されて,引用された先行技術が非特許文献の場合、上記 @、Aは提出省略

技術的範囲 の判断に対する行政的対応

権利範囲確認審判

判定制度

指定期間の延長

@延長及 び短縮可能A1ヶ月ずつ何回でも延長可能

@延長のみ可能A指定期間の延長に制限ある

明細書, 請求項補正

補正の時期·範囲は日本と実質的に同様(但し、右記の内容の場合 は相違)

 

 

 

 

 

 

@補正前後 のクレームに記載の事項は“発明の単一性”を満たすべきA分割出願に係る発明が、原出願 について指摘された拒絶理由を解消していない場合、分割出願に対する最初の拒絶理由通知 に対応する補正が制限される(最後の拒絶理由受領時と同様の補正が必要)

出願分割

@特許決定謄本送達後 は分割出願不可A分割範囲から外れた場合は拒絶、無効理由

特許査定謄本送達日から30日以内の分割出願も可能

 

 

出願変更

@デザインと特許間の変更出願なしA実用新案登録出願に関する最初の拒絶決定謄本の送達日より30日経過時 には変更不可B一度登録された権利は特許に変更不可

@意匠と特許間の変更出願可能A実用新案登録出願日から3年が経過した場合は変更不可B実用新案登録に基づいた特許出願可能

 

 

審判の種類

拒絶決定不服審判 、無効審判、訂正請求及び訂正審判、延長登録無効審判、訂正の無効審判、権利範囲の確認審判、通常実施権許諾審判

拒絶査定不服審判 、無効審判、訂正請求及び訂正審判、延長登録無効審判

 

無効審判請求人の適格

登録公告日から3ヶ月間は誰でも請求できるが、その後は“利害関係人”又は審査官のみ可能

誰でも請求可(但し、共同出願及び無権利者の出願の違反事由の主張時は“利害関係人”のみ可能)

無効理由(基本的な無効理由は同様、但し、右記の 場合は相違)

@最初の出願時 の明細書に記載された事項以外の新規事項が追加された分割出願及び変更出願A訂正の範囲から外れた訂正は、訂正の無効審判によってその訂正が無効になる

@外国語書面出願に関する無効事由があり、訂正の範囲に関する所定の規定を違反した場合は特許自体が無効になる

 

 

 

無効審判手続きでの請求の理由の補正と訂正請求

@請求の理由 の補正:制限なし(訂正請求の範囲及び無効審判手続きの訂正請求可能な時期は実質的に同様)

A右記のAの日本制度なし

 

@請求の理由 の補正:要旨変更不可(但し、審判長の許可がある場合に補正可)A審決取消訴訟で取消判決があり、特許庁の審判部 で再審理する場合に訂正請求可能

訂正審判請求期間の制限

@無効審判が特許審判院に係属している場合 には訂正審判請求不可A無効審判手続きが特許法院(=裁判所)又は大法院(=最高裁判所)に係属している場合には可能

@無効審判の 審決確定前まで訂正審判請求不可A但し、無効審決に対する訴えを提起した日から90日の期間内には可能

 

 

特許料の納付

納付期間の満了後6ヶ月間の追納期間を認める

 

 

最初の1~3年の特許料は,納付猶予の場合に限定し,第4年分以後については一括納付を認める

技術的範囲 の判断に対する行政対応

@判定制度なし。

A但し,権利範囲の確認を求める審判制度があり

技術的範囲 に対して,特許庁に判定を求める制度があり

 

不実施 などを理由にした通常実施権の裁定

特許発明が継続して不実の場合及び公共の利益のために必要な場合だけではなく、不公正取 り引き行為及び医薬品輸出行為に対して通常実施権の裁定請求が可能

特許発明が継続して不実の場合及び公共の利益のために必要な場合に通常実施権の裁定請求が可能

 

 

実施の態様

"輸出"が実施の態様に含まれない(韓国の商標法の使用概念には "輸出"が含まれる)

"輸出"も実施の態様に含まれる

 

侵害と見る行為

間接侵害は専用品 に限り判断するため,間接侵害認定範囲は日本の規定より狭い

専用品 ではない物に対しても間接侵害適用(主観的要件を導入)

相手の明示義務

具体的態様 の明示義務が規定されていない

 

特許権者 の相手に対して,自分行為の具体的態様に対する明示義務を規定している


3. 日韓の特許要件の比較
日本国特許法(以下、「日特」とする)49条各号では、拒絶理由が限定列挙されており、これらの拒絶理由 に該当しなければ特許査定を得られます。一方、韓国特許法(以下、「韓特」とする)62条各号 においても拒絶理由が限定列挙されており、これらの拒絶理由に該当しなければ特許査定を得られます。この点は日韓両国とも同じです。 以下、日特49条各号と韓特62条各号の内容を比較し、共通点と差異点を整理したいと思います。

1.共通点
(1)新規事項追加禁止(日特17条の2第3項、韓特47条2項) 韓国では韓国語で出願しなければならないため(韓特施規4条1項)、 日特17条の2第3 項にある誤訳訂正書についての規定はありませんが、実質的な差異はありません。
(2)外国人の権利の享有(日特25条、韓特25条)
(3)産業上利用性(日特29条1項柱書、韓特29条1項柱書)
(4)新規性(日特29条1項各号、韓特29条1項各号 ) 韓国では2006年の改正により公知公用の基準が世界主義へと改正されました。
(5)進歩性(日特29条2項、韓特29条2項)(6)拡大された範囲の先願の地位(日特29条の2、韓特29条3項)
(6)特許を受けることができない発明(日特32条、韓特32条)
(7)共同出願(日特38条、韓特44条)
(8)先願(日特39条1項乃至4項、韓特36条1項乃至3項) 実用新案登録出願に基づく特許出願の規定(日特 46条の2)が含まれていますが、実質 的な差異はありません。
(9)条約違反(日特49条3号、韓特62条3号)
(10)いわゆる冒認出願(日特49条7号、韓特33条1項)

 

2. 差異点
(1)記載要件(日特36条4項1号6項・37条、韓特42条3項乃至5項45条)

「発明の詳細な説明」 
日特36条4項1号は、平成6年改正により従前の「その発明の目的、構成及び効果を 記載しなければならない」という規定が改められました。 一方、韓特42条3項は、「その発明の目的、構成及 び効果を記載しなければならない」 と規定されており、平成6年改正以前の日特36条4項と同じ構成になっています。 

 

「特許請求の範囲」 
日特36条6項は、特許請求の範囲について「発明の詳細な説明に記載したものである こと、発明が明確であること、請求項 の記載が簡潔であること、省令に定める記載要件に 合致すること」を求めています。 一方、韓特42条4項及 び5項では「発明の詳細な説明によって裏付けられること、発 明を明瞭かつ簡潔に記載すること、発明の構成に欠くことのできない事項のみ記載するこ と、大統領令に定める記載要件に合致すること」が求められています。このうち、「発明の 構成に欠くことのできない事項のみ記載する」については平成6年改正により改正される 前の日特36条と同じ構成になっています。 

 

「単一性」
日特37条は「技術的関係を有する」と規定するのに対し、韓特45条は「1つの総括 的発明の概念を形成する」と規定しています。

 

(2)日特49条5号及び6号は、日本のみにある規定です。 前者は日特48条の7の通知が出され、補正書又 は意見書の提出によってもなお日特36 条4項2号違反になる場合は拒絶される旨を定めており、後者は外国語書面出願に記載した 事項の 範囲内で明細書等を記載しなければならない旨を定めています。

 

(3)韓特62条6号(分割出願)及び7号(変更出願)は、2006年改正 により追加された規定であり、韓国のみにある規定です。 韓特52条1項は、出願当初明細書に記載した範囲内 で分割出願をしなければならない旨 を規定しており、これに違反すれば拒絶となります。日本では分割出願に新規事項が含まれ ていても新規事項に関する部分について遡及効が得られないだけで、出願自体は適法に係属 します。 
韓特53条1項は、出願当初明細書に記載した範囲内で実用新案登録出願から特許出願に 変更しなければならない旨を規定しており、これに違反すれば拒絶となります。日本では変 更出願 に新規事項が含まれていても新規事項に関する部分について遡及効が得られないだけ で、出願自体は適法に係属します。
 

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